密度の違うものの境目で折れ曲がる特性があるのが光です。
密度の低い空気から、密度の高いダイヤモンドに光を当てると、光の速度は遅くなり垂直方向に進みます。
一方、ダイヤモンドから空気中に光が出ていく場合、光の速度が早くなり、境界面の水平方向に進みます。
この光の折れ曲がり具合を示す数値が屈折率です。宝石の屈折率を調べるには、屈折計という機械で測定します。
ダイヤモンドが天然なのか、あるいは合成なのかはまた別な検査が必要ですが、屈折計で屈折率を調べるのは宝石鑑定(グレーディング)において基本といえます。
ダイヤモンドの屈折率は2.419と他の宝石に比べても高い数値です。
ダイヤモンドのシンチレーション(煌めき)は、この高い屈折率が関係するといえます。
ダイヤモンドの光がすべて反射される角度のことを臨界角といいますが、屈折率が高いと臨界角が小さくなる特徴があります。
ダイヤモンドの臨界角は約25度。臨界角が小さいため光が反射される領域が広く、輝きが強くなるのです。
ダイヤモンドに見た目がそっくりのキュービック・ジルコニア(CZ)は、ダイヤモンドの類似石として知られています。キュービック・ジルコニアの屈折率は2.16。
ダイヤモンドの屈折率よりも大きく、硬度もあります。また、ダイヤモンドよりもキュービック・ジルコニアの方が、分散した虹色の光が強い特徴があります。
ダイヤモンドの特性に似ている天然石ジルコンは、地球上でもっとも古い鉱物です。
無色のジルコンは高い屈折率とファイアをもつ色彩に富んだ宝石。そのため、何世紀にもわたりダイヤモンドと混同されてきました。
また、キュービック・ジルコニアとよく似ているので見間違えることも。
ジルコンは高(ハイタイプ)、中、低(ロータイプ)の3種類に分類されます。
一般的なハイタイプの屈折率は1.925~1.984。複屈折のため、境界面で屈折する光が2つに分かれます。
透明度や輝きはダイヤモンドよりも劣りますが、ペンライトを当てるとダイヤモンドに引けを取らない強いファイアが発せられます。
ダイヤモンドの屈折率よりも高いのが、ダイヤモンド類似石のモアッサナイト(モアサナイト)です。
ダイヤモンドが2.42の屈折率に対し、モアッサナイトは2.68~2.69の複屈折と高い屈折率を誇ります。
モアッサナイトは炭化ケイ素(SiC)の鉱物学上の名前。ダイヤモンドと見た目や特徴は似ているものの、天然石であるダイヤモンドとは違い、人工的な開発で育成された人工石です。
光の分散率については0.104と、ダイヤモンドの0.044の2倍以上あります。
硬さについてはダイヤモンドに比べるとやや劣りますが、一般的に硬度が高いといわれるルビーやサファイアよりも硬いです
ダイヤモンドを購入した際、鑑定書(グレーディングレポート)に屈折率1.81以上と書かれているのはなぜなのか、疑問にもつこともあるでしょう。
先に述べたように、ダイヤモンドの屈折率を測定するのに用いられるのが屈折計です。
ダイヤモンドのような高い屈折率の鉱物は、通常の屈折計では測定できないのが現状。
そのため、屈折率1.81以上と書かれていることが多いのです。
屈折計で使用される専用の液体が屈折液ですが、1.81まで測定できる屈折液もあれば、1.78まで測定できる屈折液もあります。
参考になれば幸いです。
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